先日テレビ朝日の「博士ちゃん」という番組で秘境駅が取り上げられていました。ここ数年、その他の番組でも”秘境”を特集した番組が増えてきているような気がします。
皆さん日々の忙しい生活を忘れるために秘境に癒しを求めているのでしょうか?
さて、今回は2012年に行った飯田線の秘境駅巡りについて書きたいと思います。
もう9年前にもなりますが、”秘境”なので都会と違って大きな変化は少ないのでは?と思います。
飯田線とは
長野県の辰野駅と愛知県の豊橋駅を結ぶ(一部静岡県も通過する。)全長195kmのJR線。特に飯田駅より南~愛知県に入るくらいまでの間が秘境駅の宝庫で、「なぜこんなところに駅が???」といった駅がたくさん存在します。もちろん単線です。
毎年「飯田線秘境駅号」という秘境駅をめぐるツアーも開催されているほど、全国的にも人気がある秘境駅路線です。
【乗車体験レポート】飯田線「10周年秘境駅号」で秘境駅を堪能する旅 | トレたび - 鉄道・旅行情報サイト
ただ、ツアーに参加してしまうと大人数での行動となるので、せっかくの秘境駅感が無くなってしまうので個人的にはあまりお勧めはできないです。
旅当日のスケジュール
青春18きっぷで1日乗り放題を使用して1日で可能な限り多くの駅を回れるように上下線の時刻表と格闘しながら練ったプランが次のプランです。
・前日の夜は飯田に前泊し、当日は飯田駅の始発に乗車。
の順に上下線を乗り継ぎながら秘境駅を満喫
・その後、静岡の清水まで行き一緒に行った友人の実家に宿泊
前泊は飯田駅より南の駅周辺には泊まるところがなかなか無かったので、少し遠いですが飯田駅周辺に泊まりました。
田本、小和田、大嵐が絶対に行きたかったところだったので、このプランになりましたが、自分の行きたい駅によってベストなプランは変わってくると思います。
ちなみに、昼ご飯を調達できるようなところは一切ありませんので、事前に購入していきましょう!
田本駅
まずは飯田駅から乗車し、田本駅で降りました。始発に乗ったはずなのに途中の駅から高校生が乗ってきました。恐らくですが、高校の数が少ない為遠くの学校に通わざるを得ない子たちが一定数いるのではと思います。また、電車の本数も1時間に1本程度なので、1本遅れると大遅刻になってしまうと思います。
さて、本題ですが田本駅のホームはこんな感じです。もちろん無人駅。人どころか建物ひとつない断崖絶壁ともいえるような場所にポツンと駅があります。
早速めちゃくちゃテンション上がりますね。
ホームの隅の方へ歩いていくと、↓左側の写真のような山道があります。この道がこの駅から脱出する唯一の道です。どうやら、車では乗り入れできないようです。
半信半疑のまま山道を進んでいくこと約20分。ついに舗装された普通の道に辿り着きました。一応「田本駅」と手作り感満載の看板がありましたが、この大きさでは知っている人でないと気が付かないような気がしますね。
ホームには待合室も設置されており、そこに観光客が自由に記載できるノートが置いてあったのですが、
「前の(古い)駅ノート返して下さい。(管理人より)」と悲しい記載が。。。
金野駅
続いて、朝来た飯田方面の電車に乗り金野駅へ。金野駅のホームからも建物は何も見えません。
しかし、金野駅には車が通れるような道が続いており、自転車置き場?のようなボロボロの屋根もあり、昔は自転車で駅を利用する人も一定数いたのでは?と想像してしまいます。
この道を10分程度歩くと、「金野卵 販売します」の看板とともに重機やビニールハウスも出てきました。人の気配はしませんでしたが、恐らくここは人の生活圏内だと思いますので、秘境駅レベルとしては少し低めですかね。
小和田駅
続いて、今回一番行きたかった小和田駅。ここは住所としては静岡県浜松市ですが、静岡、愛知、長野の3県の丁度境目に位置しています。前の2駅とは比べ物にならないほどの秘境っぷりで、ホームから見えるのは山のみ。
それにしても浜松市って政令指定都市ですよ。政令指定都市でこの秘境っぷりはすごいですね!
駅舎もいい感じのレトロ感で映画に出てきてもおかしくないですね。
小和田駅は平成5年に天皇陛下と雅子様がご結婚される際、雅子様の旧制「小和田(こわだ)」と同じ漢字だったことで、一時的に乗降者数が急増したそうです。なんと、その1年で小和田駅で販売された乗車券の売り上げは通常時の170年分に相当するそうです(笑)。
また、自治体としてそのブームに乗っかり恋愛成就のスポットとして全面的に売り出したそうで、実際にこの駅で結婚式を挙げたカップルもいるそうです。
その当時の名残がいろんなところに残っていました。
小和田駅から見えるのは山のみですが、実はこの駅を最寄り駅とする集落が1つだけあります。塩沢集落と言い山道を約1時間かけて歩くとその集落へ行くことができます。
昔はこの駅付近にも集落があったそうなのですが、佐久間ダムが建設されたことでダムに沈んでしまったそうです。
電車の時間もあるので塩沢集落までは行けないため、駅の周りを散策しましたが駅近くの廃墟はなかなかいい感じの雰囲気でした。
塩沢集落まで行けないとはいっても、時間が許す限り駅から離れてみたくなり、山道を進んでいくと前方に人影が!!!
最初はめちゃくちゃ怖かったですが、よく見るとキャリーバックを引いたおばあさんです。恐らく、塩沢集落の方なのでしょう。買い物、病院、役所、どこへ行くにもこの道を1時間かけて歩く。。。とても自分には考えられないです。
中井侍駅
続いて、中井侍駅。
この駅は比較的に秘境感が薄い駅でした。というのもホームから民家が見えました。ただ、めちゃくちゃ急斜面の上のほうに。。。
この民家はかなりの急斜面に立っており、その斜面にはお茶畑が広がっていました。
一番上まで登ると茶畑と天竜川が一望でき素晴らしい景色でした。
大嵐駅
最後に大嵐駅。「大嵐」で「おおぞれ」とは絶対に読めないですね。
この駅の駅舎は、他の駅とは比べ物にならない程新しく綺麗なものでした。なんと駅の前にはバス停も。この駅から徒歩5分ほどのところに富山地区という小さな集落があるだけで、最寄りの地区には山道を車で40分程度走る必要があります。
駅周辺だけ見ると全然秘境駅ではないような感じですが、実は車でのアクセスが非常に悪いのです。
さて、今回大嵐駅に行った一番の目的地に向かいます。
駅を降りて左に進むと1車線の出口の見えない長いトンネルがあります。このトンネルは1km以上あり、途中で一生抜けられないんじゃないかと不安になりました。
また、トンネルのちょうど中間地点くらいで、向こうからバイクが走ってきてめちゃくちゃ怖かったです。バイクでこの地区を訪れる人も結構いるんですかね?
この長いトンネルを抜けると、目的地の夏焼地区です。
トンネルを抜けて細い山道を登っていくと、何件かの民家が並んでいます。当時、人が住んでいたかは不明ですが、2021年現在は全件空き家になっているそうです。
民家のあたりから見える景色は絶景ですね。ちょうど船が通っていましたが、観光用なのでしょうか?それとも個人?
感想
今回、田本駅、金野駅、小和田駅、中井侍駅、大嵐駅の5つの駅をまわり、想像以上の秘境さを目の当たりにできとても充実した1日になりました。
それぞれの集落が反映していた時代を想像するとやはりワクワクしてしまいます。
できれば、いつかは小和田駅から塩沢集落へ行ってみたいですね。